キッチンカーは、店舗を借りるより少ない資金で始められます。「まず小さく試したい」という方に選ばれるのは、そのためだと思います。
ただ、調べはじめると許可の話が急に分かりにくくなる。車の話なのか食品の話なのか、どこに行けばいいのかも見えてきません。
この記事では、大阪でキッチンカーを始める方に向けて、営業許可の流れを整理しました。あわせて、車両を買ってからでは遅い落とし穴もお伝えします。
業種ごとに必要な手続きの全体像は、大阪で開業するときの許認可|業種別に必要な手続きの一覧にまとめています。
いちばん見落とされるのは「仕込み場所」です
先に、いちばん大事なところから。
キッチンカーの許可は、車両だけでは取れません。食材の保管や下処理をする場所——「基地施設」が必要になります。
大阪市の説明では、基地施設は次のことを行う場所とされています。
- キッチンカーや食品等の保管
- 下処理や一次加工
- 給水
- 器具等の洗浄消毒
そして重要なのが、ご自宅のキッチンは、原則としてこの基地施設にできません。家庭用の台所は営業の許可を受けた施設ではないためです。
「車さえ買えば始められる」と考えていると、ここで止まります。車両の前に、仕込み場所のあてを探してください。
仕込み場所をどう確保するか
現実的には、次のような方法があります。
- 知り合いの飲食店の厨房を、営業時間外に借りる
- シェアキッチンやレンタルキッチンを契約する
- 仕込み用の物件を借りて、そこで営業許可を取る
どれも相手のいる話なので、時間がかかります。車両の製作と並行して動くくらいでちょうどいいです。
なお、メニューによっては仕込みがほとんど不要な場合もあります。車内での調理だけで完結する構成なら、必要な設備も変わります。メニューを決めてから相談に行くと、話が早く進みます。
令和7年6月から、許可が広い範囲で使えるようになりました
ここは、少し前の情報を見ていると誤解しやすいところです。
以前は、営業する自治体ごとに許可を取り直す必要がありました。大阪市で許可を取っても、隣の市のイベントに出るには別の許可が要る——キッチンカーで最も面倒だったのがここです。
令和7年6月1日から、関西広域連合域内で許可基準が共通化されました。対象は次のとおりです(鳥取県は除く)。
- 滋賀県
- 京都府
- 大阪府
- 兵庫県
- 奈良県
- 和歌山県
- 徳島県
共通化された基準に適合する許可であれば、この範囲で営業できるようになりました。大阪を拠点に、京都や神戸のイベントにも出たい——という動き方がしやすくなっています。
古い記事には「自治体ごとに許可が必要」と書かれたままのものもあるので、情報の日付を確認してください。
車両の設備には基準があります
車両は「食品を扱える状態」に作る必要があります。シンク、給水・排水タンク、手洗い設備などです。
ここで知っておいていただきたいのが、給水タンクの容量によって、扱える食品の幅が変わるということです。
大阪市の説明では、必要な容量は調理工程の数・品目数・リスクの区分から判定されます。つまり、
- 温めて出すだけの単品なら、小さいタンクで足りることがある
- 工程が多く品目も多いなら、大きいタンクが要る
という関係です。「どんなメニューをやりたいか」で必要な設備が決まるので、順番としてはメニュー → 設備 → 車両製作になります。
具体的にどの区分に当たるかは車両と品目次第なので、図面とメニュー案を持って保健所に相談してください。
車を買う前に相談してください
ここが最大のポイントです。
中古のキッチンカーを買ってから「この設備では許可が下りない」と分かるケースがあります。買ってしまってからの改造は、費用も時間もかかります。
購入や製作を決める前に、その車両で自分のメニューが通るかを保健所に確認してください。
申請から営業開始までの流れ
| # | やること |
|---|---|
| 1 | メニューを決める |
| 2 | 基地施設(仕込み場所)のあてを付ける |
| 3 | 保健所に事前相談(メニューと車両の構想を持って) |
| 4 | 車両の製作・購入 |
| 5 | 申請と、車両の検査 |
| 6 | 許可証の交付 |
検査は車両を持ち込んで受けます。日程は保健所の都合もあるので、出店予定のイベントから逆算して余裕を持って動いてください。
なお、食品衛生責任者を置く必要があるのは店舗と同じです。講習は日程が限られるので、早めに押さえておくと安心です。店舗の飲食店営業許可については飲食店営業許可の取り方にまとめています。
許可があっても、出店場所は別の話です
もうひとつ、勘違いしやすい点です。
営業許可は「食品を扱っていい」という許可であって、「どこで売っていい」という許可ではありません。
出店するには、その場所の持ち主の許可が別に要ります。
- 私有地(駐車場、店舗の軒先など)→ 所有者との交渉
- イベント・マルシェ → 主催者への出店申込み
- 公園や道路 → それぞれ別の手続きが必要になることがあります
許可を取ったのに出る場所がない、というのはよくある詰まり方です。車両と並行して、出店先のあてを作っておいてください。
出店場所が決まっても、お客さまは来ません
正直に申し上げます。
許可も場所も揃って、それでもキッチンカーは「気づかれない」ことが多いです。通りがかりの人しか来ない状態だと、天気と場所に売上が左右され続けます。
固定客がついているキッチンカーは、だいたい次のことをしています。
- SNSで「今日はここにいます」を発信している
- Googleマップやウェブで、メニューと価格帯が分かるようにしている
- LINEなどで、次の出店予定を届けられるようにしている
キッチンカーは店舗と違って住所が毎日変わるので、「どこにいるか」を伝える手段があるかどうかで結果が変わります。ここは開業準備の段階から用意しておくと、初日から違います。
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出店予定から逆算したスケジュールもあわせてご提案します(制作の流れ)。大阪府全域、ご指定の場所へ伺います。
まとめ
キッチンカーで押さえるべきことは3つです。
- 車両より先に、仕込み場所(基地施設)のあてを付ける
- 車を買う前に、そのメニューで許可が下りるか保健所に相談する
- 許可と出店場所は別。場所は自分で確保する
そして令和7年6月から、関西圏では許可が共通化されています。古い情報に引っ張られないでください。
「このメニューで大丈夫だろうか」「何から手をつければいい?」——そんな段階のご相談も歓迎しています。まずはお気軽に無料相談でお聞かせください。
※この記事は執筆時点の情報をもとにしています。制度や運用、設備の基準は変わることがあり、細部は自治体によって異なります。手続きの詳細は必ず基地施設の所在地を管轄する保健所にご確認ください。