お店を開こうと決めて調べはじめると、まず出てくるのが「飲食店営業許可」という言葉です。
名前だけ聞くと難しそうですが、やること自体は、そこまで複雑ではありません。順番さえ間違えなければ、多くの方がご自身でも進められます。
ただし——順番を間違えると、内装工事をやり直すことになります。ここだけは本当に気をつけてください。
この記事では、大阪で飲食店を開業する方に向けて、許可を取るまでの流れを整理しました。専門用語は必ず言い換えます。
業種ごとに必要な手続きの全体像は、大阪で開業するときの許認可|業種別に必要な手続きの一覧にまとめています。「自分は何が要るのか」から確認したい方はそちらをどうぞ。
いちばん大事なこと:内装工事を始める前に、保健所へ
先に結論からお伝えします。
物件を決めたら、内装の工事を始める前に、必ず保健所に相談してください。
理由は、飲食店の設備には満たすべき基準があるからです。シンクの数、手洗い場の位置、調理場と客席の区切り方など、細かく決まっています。
これを知らずに工事を進めてしまうと、こうなります。
- 工事が終わってから検査を受ける
- 基準を満たしていないと指摘される
- 壁や水回りを作り直すことになる
追加の工事費も、オープンの遅れも、すべて自己負担です。しかも内装業者が飲食店の施工に慣れていない場合、この失敗は実際に起こります。
図面ができた段階で保健所に持ち込み、「この内容で大丈夫でしょうか」と見てもらう。これだけで防げます。事前相談は無料です。
申請する場所:大阪市は区ごとに窓口が決まっています
飲食店営業許可の窓口は、お店の所在地を管轄する保健所です。
大阪市内の場合、窓口は「生活衛生監視事務所」です。区役所の保健福祉センターではありません。市内に5か所あり、お店がある区によって担当する事務所が変わります。
| 窓口(場所) | 担当する区(お店の所在地) |
|---|---|
| 北部生活衛生監視事務所 北区役所 2階 |
北区・都島区・淀川区・東淀川区・旭区 |
| 東部生活衛生監視事務所 中央区役所 3階 |
中央区・天王寺区・浪速区・東成区・生野区・城東区・鶴見区 |
| 西部生活衛生監視事務所 港区役所 4階 |
福島区・此花区・西区・港区・大正区・西淀川区 |
| 南東部生活衛生監視事務所 サンビル阿倍野 3階 |
阿倍野区・東住吉区・平野区 |
| 南西部生活衛生監視事務所 住之江区保健福祉センター分館 |
住之江区・住吉区・西成区 |
出典:大阪市「大阪市保健所生活衛生関係窓口一覧」(2026年9月確認)。電話番号と受付時間は大阪市のページでご確認ください。
たとえば天満・天神橋筋(北区)なら北部、心斎橋・難波・本町(中央区)なら東部の事務所です。自宅の住所ではなく、お店の住所で決まる点に注意してください。
大阪市の外(堺市・東大阪市・豊中市など)は、市や府の保健所が管轄します。どこが自分の管轄なのか分からない場合は、市区町村の代表電話に「飲食店を開きたいのですが」と伝えれば案内してもらえます。ここで迷う必要はありません。
相談に行く前に用意しておくもの
手ぶらで行っても話が進みません。次のものを持っていくと、その場で具体的な指摘がもらえます。
- 店舗の図面 — 手書きでも構いません。シンクや手洗い場の位置が分かるもの
- 物件の住所
- お店で何を出すか — 調理の内容によって求められる設備が変わります
- オープンの予定日
窓口によっては事前予約が必要なこともあります。行く前に一度電話をして、相談の受付方法と持ち物を確認しておくと二度手間になりません。
許可はどこで受け取るのか
申請も受け取りも、同じ保健所です。検査に通ると、そこで営業許可証が交付されます。
なお、申請自体は厚生労働省の「食品衛生申請等システム」から電子申請することもできます。ただし施設の検査は現地で行われるので、少なくともその日は立ち会いが必要です。電子申請にするか窓口に持参するかは、事前相談のときに相談してください。
食品衛生責任者を決めます
お店ごとに、食品衛生責任者を1名置く必要があります。
「責任者」という言葉が重たく聞こえますが、多くの場合、講習を1日受ければ取得できます。都道府県の食品衛生協会などが定期的に開催しています。
すでに次のような資格をお持ちなら、講習を受けなくても該当することがあります。
- 調理師
- 栄養士・管理栄養士
- 製菓衛生師
- ふぐ調理師 など
ご自身が該当するか分からない場合は、保健所か食品衛生協会に確認してください。
注意点として、講習会は日程が限られています。満席で翌月まで待つこともあるので、開業日が決まっているなら早めに押さえておくと安心です。
必要な書類
おおむね次のものが必要になります。
- 営業許可申請書(保健所の所定様式)
- 営業設備の大要・配置図(お店の図面)
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの(講習の修了証など)
- 水質検査成績書(貯水槽や井戸水を使う場合)
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 許可申請の手数料
手数料は、大阪市の飲食店営業の新規許可申請で 16,000円です。ただし自治体や業種によって異なりますので、大阪市以外で開業される場合は、申請前に管轄の窓口で確認してください。
なお、2021年6月からHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が、原則すべての食品事業者に義務づけられています。難しく聞こえますが、小規模なお店の場合は、業界団体が出している手引書に沿って衛生管理の計画を作り、記録を残すという内容です。申請の際にあわせて案内されます。
申請から許可までの流れ
おおまかには、この順番で進みます。
| # | やること | 場所 |
|---|---|---|
| 1 | 事前相談(図面を持って) | 保健所 |
| 2 | 内装工事 | 物件 |
| 3 | 申請書の提出 | 保健所 |
| 4 | 施設の検査 | 物件 |
| 5 | 許可証の交付 | 保健所 |
申請は、工事が終わる少し前のタイミングで出します。検査は完成した状態で受けるので、工事の完了予定日から逆算して動きます。
申請から許可証が出るまでには、おおむね2週間から3週間程度を見ておくと安全です。ただしこれは目安で、混み具合や検査の結果によって変わります。オープン日ぎりぎりの申請は避けてください。
検査で指摘が出た場合は、直してから再度見てもらうことになります。ここで一度つまずくと、オープンが数週間ずれることもあります。
なお、キッチンカーや移動販売は「自動車営業」という別の許可になります。車両の設備基準や、仕込みをする基地施設が必要になる点が店舗と違うので、キッチンカーの営業許可にまとめました。
営業許可証を受け取ったあと
許可証は「もらって終わり」ではありません。3つ覚えておいてください。
店内の見やすい場所に掲示します
営業許可証は、お店の中の見やすい場所に掲示することになっています。事務所の引き出しにしまわず、壁に貼れる場所を決めておいてください。
有効期限があります
営業許可には有効期限があり、切れる前に更新の手続きが必要です。期限は業種や自治体によって異なるので、交付されたときに許可証の記載を確認して、更新月をカレンダーに入れておくことをおすすめします。
うっかり切らすと、営業を続けられなくなります。開業から数年後の話なので忘れやすく、実際に多い失敗です。
変更や紛失のときも手続きがあります
店名や営業者を変えるとき、施設を大きく変えるときは、変更の届出が必要になることがあります。許可証をなくしたときは再交付の申請ができます。どちらも窓口は同じ保健所です。
深夜0時以降もお酒を出すなら、別の手続きがあります
バーや居酒屋のように、深夜0時を過ぎてもお酒を提供する場合は、この飲食店営業許可に加えて、警察署への届出が別途必要になります。
そして重要なのは順番です。飲食店営業許可を取ってから、深夜営業の届出をします。逆にはできません。
こちらは物件選びの段階で確認すべきことがあり、知らずに契約すると取り返しがつかない落とし穴があります。詳しくは大阪でバーを開業するには|深夜酒類提供飲食店営業の届出と必要書類にまとめました。物件を押さえる前にご覧ください。
消防への届出も忘れずに
保健所の話ばかりしてきましたが、消防署への手続きも別にあります。
建物や収容人数によって、防火管理者の選任や、防火対象物使用開始届などが必要になります。内装や設備によっては、消防設備の追加を求められることもあります。
こちらも物件を決めた段階で、所轄の消防署に相談しておくのが安全です。保健所と消防、どちらも「工事の前」がポイントになります。
許可が下りることと、お店が続くことは別の話です
ここまで手続きの話をしてきましたが、正直に申し上げます。
許可はお店を開けるようにするための作業であって、お客さまが来るかどうかとは別の話です。
飲食店の場合、開業後に効いてくるのは「近くで店を探している人に見つけてもらえるか」です。今その探し方は、ほとんどがスマホの検索とGoogleマップに移っています。
- 「エリア名 + 料理のジャンル」で検索したときに出てくるか
- Googleマップに営業時間・写真・メニューが載っているか
- ホームページで価格帯と雰囲気が分かるか
Googleマップへの登録は、オープン前から始められます。開業日の入れ方や、看板がないと確認が通りにくい点は開業前にGoogleマップへ登録する方法にまとめました。
工事と手続きに追われていると、この準備はどうしても後回しになります。そしてオープンしてから慌てて着手すると、いちばんお客さまに来てほしい最初の数か月を逃します。手続きと並行して進めるのが理想です。どこに頼むか迷っているなら、ホームページ制作の依頼先はどう選ぶ?で選択肢を比べています。
noanavi は、開業の準備から開業後の運営までサポートします
noanavi は大阪・関西で初めて開業する方を対象に、開業の前・開業のとき・開業したあとを通して、相談できる相手としてサポートしています(サービス内容)。
- 開業前:手続きの段取りと、許認可の手続き — どの許可や届出が要るのか、どの順番で進めるのかを一緒に整理します。書類の作成・提出は、連携する行政書士が対応します(費用は行政書士から直接ご案内します)
- 開業のとき:お店の情報を、見つけてもらえる場所に — ホームページ、Googleマップ、LINE、ドメイン・メールまでまとめて用意します。ホームページは5ページ 98,000円〜(税別)で、内訳は料金プランに公開しています
- 開業したあと:運営のご相談 — サイトの更新・保守、Googleマップ・SNS・LINEでの集客、スタッフ募集のページづくり、外国人スタッフの在留期限の管理まで、続けてご相談いただけます
オープン日から逆算したスケジュールもあわせてご提案します(ご相談からの流れ)。大阪を中心に関西2府4県、ご指定の場所へ伺います。
まとめ
飲食店営業許可で押さえるべきことは、実はシンプルです。
- 内装工事を始める前に、図面を持って保健所へ
- 食品衛生責任者を早めに確保する(講習は日程が限られます)
- オープン日ぎりぎりに申請しない(検査で指摘が出る前提で余裕を持つ)
この3つを守れば、大きくつまずくことはないはずです。
「うちの物件で大丈夫だろうか」「何から手をつければいい?」——そんな段階のご相談も歓迎しています。まずはお気軽に無料相談でお聞かせください。
※この記事は執筆時点の情報をもとにしています。制度や運用、手数料は変わることがあり、細部は自治体によって異なります。手続きの詳細は必ず所轄の保健所・消防署にご確認ください。